Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
もう一つには、彼自身の申し口だけを信用するわけも行かないので、半七は彼を下谷へひいて行って、そこの自身番で十右衛門と突き合わせの吟味をすることになった。
十右衛門は政吉を見識っていると云った。政吉も十右衛門を見識っていると云った。しかし十右衛門が何者かに襲われた時は一切夢中で、誰がどうしたのかちっとも覚えていないと云うのである。これには半七も少し弱った。そのうちふと思い出したことがあったので、かれは十右衛門に訊いた。
「わたしはお前さんの店の者に聞いて知っているが、おまえさんは顔や首にはそれほどの怪我をしながら、家へ帰って来た時には血も大抵止まっていたというが、どこで血止めの手当てをして来なっすたえ」
「浅草へまいりましてから、駕籠屋にたのんで水を汲んで来て貰いました」
「駕籠屋にも頼んだかも知らねえが、荒物屋でも水を汲んで貰やあしませんでしたか」
十右衛門はぎょっとしたらしい。かれは黙って俯向いてしまった。
「なぜそれを隠しなさる。それが私に判らねえ。あの近所で夜遅くまで起きているのは荒物屋だから、わたしはきのうあすこへ行って何か心当りのことはなかったかと訊くと、はじめはあいまいなことを云っていたが、しまいにはとうとう白状して、かみさんがお前さんに一朱もらったことまで話しましたよ。