Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
滅多なことを云うもんじゃあないよ」
眼で知らされて、熊蔵はあわてたように口を結んだ。お初も急に黙ってしまった。一座が少し白らけたので、半七はそれを機に座を起った。
「どうもお邪魔をしました。きょうはこんな天気だから棟梁はお内かと思って来たんですが、それじゃあ又出直して伺います」
お初は半七の家を訊いて、亭主が帰ったら直ぐにこちらから伺わせますと云ったが、半七はあしたまた来るからそれには及ばないと断わって別れた。
「あの女房がはじめて猫婆の死骸を見付けたんだな」と、路地を出ると半七は熊蔵に訊いた。
「そうです。あの嬶、猫婆の話をしたら少し変な面をしていましたね」
「むむ、大抵判った。お前はもうこれで帰っていい。あとは俺が引き受けるから。なに、おれ一人で大丈夫だ」
熊蔵に別れて、半七はそれから他へ用達に行った。そうして、夕七ツ(午後四時)前に再び路地の口に立った。雨が又ひとしきり強くなって来たのを幸いに、かれは頬かむりをして傘を傾けて、猫婆の南隣りの空家へ忍び込んだ。彼は表の戸をそっと閉めて、しめっぽい畳の上にあぐらを掻いて、時々に天井裏へぽとぽとと落ちて来る雨漏の音を聴いていた。