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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

女房を相手に二つ三つ世間話をしているうちに、やがて上野の鐘が四ツ(午前十時)を撞いた。

「御符売りも山の手へ登ったんじゃあ、どうせ午すぎでなけりゃあ帰るめえ」

半七はその間に二、三軒用達をして来ようと思って、早々に源次の家を出た。それから駈け足で二、三軒まわって途中で午飯を食って、御厩河岸の渡に来たのは、八ツ(午後二時)少し前であった。ここで本所へ渡る船を待っていると、一と足おくれてこの渡へ来たのは菅笠をかぶった四十恰好の色の黒い男で、手甲脚絆の草鞋がけ、頸に小さい箱をかけていた。それが池鯉鮒の御符売りであることは半七にもすぐに覚られたので、物に馴れている彼も思わず胸をおどらせた。松吉から先刻訊いたのは此奴に相違ない。年頃も弥三郎から訊いた男に符合している。しかし確かな証拠もないのに突然に御用の声をかけるわけにも行かない。ともかくも宿へ帰るのを突き留めた上でなんとか詮議のしようもあろうと思って、半七は何げない風をして時々に彼の笠の内に注意の眼を送っていると、御符売りの男もそれと覚ったらしく、こっちの眼を避けるように、わざと柳の下に隠れて、胸を少しひろげて扇をつかっていた。