Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
松吉が手を鳴らすと、年増の女中がすぐに顔を出した。
「どうもお構い申しませんで、済みません」
「なに、少しお前に訊きたいことがある。もとは市ヶ谷の質屋の番頭さんをしていた千ちゃんという人が、時々ここへ遊びに来やあしねえかね」
「はあ。お出でになります」
「月に二、三度は来るだろう」
「よく御存じでございますね」
「いつも一人で来るかえ」と、半七は笑いながら訊いた。「若い綺麗な娘と一緒にじゃあねえか」
女中は黙って笑っていた。併しだんだんに問いつめられて、彼女はこんなことをしゃべった。千次郎は三年ほど前から、毎月二、三度ずつその若い綺麗な娘と連れ立って来る。昼間来ることもあれば、夕方に来ることもある。現に十日ほど前にも、千次郎が先に来て待っていると、午頃になって娘が来て、日が暮れるころ一緒に帰ったとのことであった。女中たちのいる前では、二人とも恥かしそうな顔をしてちっとも口を利かないので、誰もきょうまでその娘の名を知らないと彼女は云った。
「十日ばかり前に来たときに、その娘は麻の葉絞りの紅い帯を締めていなかったかね」と、半七は訊いた。
「はあ、たしかにそうでございましたよ」