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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

お亀は神酒徳利や団子や薄などを縁側に持ち出してくると、その薄の葉をわたる夕風が身にしみて、帷子一枚の半七は薄ら寒くなってきた。殊にもう夕飯の時分になったので、半七はお亀にたのんで近所から鰻を取って貰った。自分一人で食うわけにも行かないので、お亀とお蝶の母子にも食わせた。

飯を食ってしまって、半七は楊枝をつかいながら縁先に出ると、狭い路地のかさなり合った庇のあいだから、海のような碧い大空が不規則に劃られて見えた。月はその空の上にかかっていなかったが、東の方の雲の裾がうす黄色くかがやいているので、今夜の明月が思いやられた。露はいつの間にか降りているらしく、この頃ではもう邪魔物のように庭さきにほうり出されている二鉢の朝顔の枯れた葉が、薄白くきらきらと光っていた。

「みんなも出て拝みなせえ。もうじきお月様があがるぜ」と、半七は声をかけた。

この途端に溝板を踏む足音がきこえて、一人の男がここの格子のまえに立った。お亀がすぐに出てみると、それは見識らない武士姿であったが、かれはお蝶母子が家にいることを確かめて、唯今お女中が逢いに来られると伝えて行った。

「まあ、おれはいない積りにして置いてくんねえ」