Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
「いえ、それはなりませぬ。篤と御相談くださるように、昨夜わざわざ戻してあげましたに、いま以て何の御相談もないというは、こちらの志を無にしたような致され方、それではわたくしもおめおめ引き取るわけにはまいりませぬ。娘御をここへ呼び出して、わたくしと三つ鼎であらためて御相談いたしましょう。お蝶どのをすぐこれへ」
凛とした声できめ付けられて、お亀はいよいようろたえていると、女は袱紗につつんで来た小判のつつみを出して、うす暗い行燈の前へ二つならべた。
「御約束の御手当ては二百両、封のままで唯今お渡し申します。さあ、どうぞ娘御をこれへ」
「は、はい」
「あくまでも御不承知か。お役目首尾よく相勤めませねば、わたくし此の場で自害でもいたさねば相成りませぬ」
彼女は更に帯のあいだから袋に入れた懐剣のようなものを把り出して見せた。その鋭い瞳のひかりに射られて、お亀は蒼くなってふるえ出した。掛け合いはもう手詰めになって来た。
「あの女はおまえ識っているか」と、半七は小声でお蝶にきくと、お蝶は無言で首を振った。半七はすこし考えていたが、やがて三畳から台所へ這い出して、水口からそっと表へぬけた。