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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいえ」と、女中はふるえながらささやいた。「皆さんはまだ帳場にいらっしゃいます」

「そうかい。下座敷に上下三人づれのお武家が泊っているだろう。その座敷はどこだえ」

「え」と、女中はためらっていた。

その様子で、半七はたいてい覚った。役人たちも市之助主従に眼をつけたのであるが、相手が武士だけに少し遠慮しているらしい。それを女中ももう薄々知っているので、その座敷へ案内するのを躊躇しているのであろう。半七は気が急くので重ねて催促した。

「え、どの座敷だ。早く教えてくんねえ」

女中は仕方なしに指さして教えた。この縁側をまっすぐに行って、左へまがると風呂場がある。その前を通って奥へゆくと、小さい中庭を隔てたふた間の座敷がそれである、と云った。

「や、ありがとう」

教えられた通りに縁側を伝ってゆくと、その座敷の前に出た。

「ごめん下さいまし」

障子の外から声をかけても、内にはなんの返事もないので、半七は障子をそっと細目にあけて覗くと、蚊帳の釣手は二本ばかり切れて落ちていた。蚊帳のなかには血だらけの男が一人倒れているらしかった。

「もう切腹したのか」

もう遠慮はしていられないので、半七は思い切って障子をあけてはいると、座敷の隅の方に片寄せてある行燈の光りはくずれかかっている蚊帳の青い波を照らして、その波の底に横たわっているのは