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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

権太郎もつづいて撲り付けた。獣は度を失ったらしく、白い牙をむき出して権太郎に飛びかかって来た。こういう場合には平生のいたずらが役に立って、彼は物ともしないでその奇怪な獣と取っ組んだ。怪物はおそろしい声をあげて唸った。

「権太、しっかりしろ」

声をかけて励ましながら、半七は頭にかぶっていた手拭を取って、うしろからその敵の喉に巻きつけた。喉をしめられて怪物もさすがに弱ったらしく、いたずらに手足をもがきながら権太郎にとうとう組み敷かれてしまった。気の利いている権太郎は自分の帯を解いて、すぐに彼をぐるぐる巻きに縛りあげた。そのあいだに半七は縁側の雨戸をこじあけると、陰った日の薄い光りが空家のなかへ流れ込んだ。

「畜生、案の通りだ」

権太郎に生捕られた怪物は大きな猿であった。この怪物と格闘した形見として、彼は頬や手足に二、三カ所の爪のあとを残された。

「なに、この位、痛かあねえ」と、彼は得意らしく自分の獲物をながめていた。猿は死にもしないで、おそろしい眼を瞋らせていた。

「これが宮本無三四か何かだと、狒々退治とか云って芝居や講釈に名高くなるんですがね」と、半七老人は笑った。