Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
「ふうむ」
吉田はそう言ったなり弟がその話をこの部屋ではしないで送って行った母と母屋の方でしたということを考えていたが、やはり弟の眼にはこの自分がそんな話もできない病人に見えたかと思うと、「そうかなあ」というふうにも考えて、
「なんであれもそんな話をあっちの部屋でしたりするんですやろなあ」
というふうなことを言っていたが、
「そりゃおまえがびっくりすると思うてさ」
そう言いながら母は自分がそれを言ったことは別に意に介してないらしいので吉田はすぐにも「それじゃあんたは?」と聞きかえしたくなるのだったが、今はそんなことを言う気にもならず吉田はじっとその娘の死んだということを考えていた。
吉田は以前からその娘が肺が悪くて寝ているということは聞いて知っていた。その荒物屋というのは吉田の弟の家から辻を一つ越した二三軒先のくすんだ感じの店だった。吉田はその店にそんな娘が坐っていたことはいくら言われても思い出せなかったが、その家のお婆さんというのはいつも近所へ出歩いているのでよく見て知っていた。吉田はそのお婆さんからはいつも少し人の好過ぎるやや腹立たしい印象をうけていたのであるが、それはそのお婆さんがまたしても変な笑い顔をしながら近所のおかみさんたちとお喋りをしに出て行っては、弄りものにされている――そんな場面をたびたび