Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
姉が義兄に
「あんた、扇子は?」
「衣嚢にあるけど……」
「そうやな。あれも汚れてますで……」
姉が合点合点などしてゆっくり捜しかけるのを、じゅうじゅうと音をさせて煙草を呑んでいた兄は
「扇子なんかどうでもええわな。早う仕度しやんし」と言って煙管の詰まったのを気にしていた。
奥の間で信子の仕度を手伝ってやっていた義母が
「さあ、こんなはどうやな」と言って団扇を二三本寄せて持って来た。砂糖屋などが配って行った団扇である。
姉が種々と衣服を着こなしているのを見ながら、彼は信子がどんな心持で、またどんなふうで着付けをしているだろうなど、奥の間の気配に心をやったりした。
やがて仕度ができたので峻はさきへ下りて下駄を穿いた。
「勝子(姉夫婦の娘)がそこらにいますで、よぼってやっとくなさい」と義母が言った。
袖の長い衣服を着て、近所の子らのなかに雑っている勝子は、呼ばれたまま、まだなにか言いあっている。
「『カ』ちうとこへ行くの」
「かつどうや」
「活動や、活動やあ」と二三人の女の子がはやした。
「ううん」と勝子は首をふって
「『ヨ』ちっとこへ行くの」とまたやっている。
「ようちえん?」