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Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「いやらし。幼稚園、晩にはあれへんわ」

義兄が出て来た。

「早うお出でな。放っといてゆくぞな」

姉と信子が出て来た。白粉を濃くはいた顔が夕暗に浮かんで見えた。さっきの団扇を一つずつ持っている。

「お待ち遠さま。勝子は。勝子、扇持ってるか」

勝子は小さい扇をちらと見せて姉に纏いつきかけた。

「そんならお母さん、行って来ますで……」

姉がそう言うと

「勝子、帰ろ帰ろ言わんのやんな」と義母は勝子に言った。

「言わんのやんな」勝子は返事のかわりに口真似をして峻の手のなかへ入って来た。そして峻は手をひいて歩き出した。

往来に涼み台を出している近所の人びとが、通りすがりに、今晩は、今晩は、と声をかけた。

「勝ちゃん。ここ何てとこ?」彼はそんなことを訊いてみた。

「しょうせんかく」

「朝鮮閣?」

「ううん、しょうせんかく」

「朝鮮閣?」

「しょう―せん―かく」

「朝―鮮―閣?」

「うん」と言って彼の手をぴしゃと叩いた。

しばらくして勝子から

「しょうせんかく」といい出した。

「朝鮮閣」

牴牾しいのはこっちだ、といったふうに寸分違わないように似せてゆく。それが遊戯になってしまった。しまいには彼が「松仙閣」