Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
といっているのに、勝子の方では知らずに「朝鮮閣」と言っている。信子がそれに気がついて笑い出した。笑われると勝子は冠を曲げてしまった。
「勝子」今度は義兄の番だ。
「ちがいますともわらびます」
「ううん」鼻ごえをして、勝子は義兄を打つ真似をした。義兄は知らん顔で
「ちがいますともわらびます。あれ何やったな。勝子。一遍峻さんに聞かしたげなさい」
泣きそうに鼻をならし出したので信子が手をひいてやりながら歩き出した。
「これ……それから何というつもりやったんや?」
「これ、蕨とは違いますって言うつもりやったんやなあ」信子がそんなに言って庇護ってやった。
「いったいどこの人にそんなことを言うたんやな?」今度は半分信子に訊いている。
「吉峰さんのおじさんにやなあ」信子は笑いながら勝子の顔を覗いた。
「まだあったぞ。もう一つどえらいのがあったぞ」義兄がおどかすようにそう言うと、姉も信子も笑い出した。勝子は本式に泣きかけた。
城の石垣に大きな電灯がついていて、後ろの木々に皎々と照っている。その前の木々は反対に黒ぐろとした蔭になっている。その方で蝉がジッジジッジと鳴いた。
彼は一人後ろになって歩いていた。