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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとうとうこうき

比島投降記

石川 欣一

Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

と念を押していたが、やがてランチが来たので舳を去り、後甲板に横付けになったランチに飛びのった。僕は砲塔の上から下を走って行くランチを見下した。Pは僕の顔を見て、ニヤリとした。それきりPにはあっていない。

何度も同じことをいうが、僕にはPが、どうしてこんなに親切にしてくれたのか分らない。この軍艦で、僕は礼儀正しくしていたが(例えば朝晩の軍艦旗のあげさげに、気がつけば必ず直立不動の姿勢をとった)また、捕虜の身分を忘れず、万事控目に遠慮深くしていたが、僕のこととてお世辞をつかうでもなく、お追従をいうでもなかった。もちろん卑屈な真似はしなかった。Pばかりではなく、米国兵の誰に対しても、強いて気に入られようとつとめたりしたことは一度もないのに、どうしてこんなに大事にしてくれたのか、自分でも分らないが、新聞記者であることと、逃避行の間にひどく白くなった僕の頭髪が、同情をひいたのかも知れない。

Pの姿が見えなくなると、僕は船艙に下りて行った。大体あしたは君も上陸することになるだろうといわれていたので、僅かではあるが荷物を整理しておこうと思ったのである。すると僕を追いかけるようにして鉄梯子を下りて来たのが、ポーランド系の名前を持った陸軍の警備兵である。