Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

今度はみんな感心して見ている。

虚子はやがて羽織を脱いだ。そうして鼓を抱い込んだ。自分は少し待ってくれと頼んだ。第一彼がどこいらで鼓を打つか見当がつかないからちょっと打ち合せをしたい。虚子は、ここで掛声をいくつかけて、ここで鼓をどう打つから、おやりなさいと懇に説明してくれた。自分にはとても呑み込めない。けれども合点の行くまで研究していれば、二三時間はかかる。やむをえず、好い加減に領承した。そこで羽衣の曲を謡い出した。春霞たなびきにけりと半行ほど来るうちに、どうも出が好くなかったと後悔し始めた。はなはだ無勢力である。けれども途中から急に振るい出しては、総体の調子が崩れるから、萎靡因循のまま、少し押して行くと、虚子がやにわに大きな掛声をかけて、鼓をかんと一つ打った。

自分は虚子がこう猛烈に来ようとは夢にも予期していなかった。元来が優美な悠長なものとばかり考えていた掛声は、まるで真剣勝負のそれのように自分の鼓膜を動かした。自分の謡はこの掛声で二三度波を打った。それがようやく静まりかけた時に、虚子がまた腹いっぱいに横合から威嚇した。自分の声は威嚇されるたびによろよろする。