Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
どこをどう曲って、どこをどう歩いたら帰れるか、ほとんど覚束ない気がする。よし帰れても、自分の家は見出せそうもない。その家は昨夕暗い中に暗く立っていた。
自分は心細く考えながら、背の高い群集に押されて、仕方なしに大通を二つ三つ曲がった。曲るたんびに、昨夕の暗い家とは反対の方角に遠ざかって行くような心持がした。そうして眼の疲れるほど人間のたくさんいるなかに、云うべからざる孤独を感じた。すると、だらだら坂へ出た。ここは大きな道路が五つ六つ落ち合う広場のように思われた。今まで一筋に動いて来た波は、坂の下で、いろいろな方角から寄せるのと集まって、静かに廻転し始めた。
坂の下には、大きな石刻の獅子がある。全身灰色をしておった。尾の細い割に、鬣に渦を捲いた深い頭は四斗樽ほどもあった。前足を揃えて、波を打つ群集の中に眠っていた。獅子は二ついた。下は舗石で敷きつめてある。その真中に太い銅の柱があった。自分は、静かに動く人の海の間に立って、眼を挙げて、柱の上を見た。柱は眼の届く限り高く真直に立っている。その上には大きな空が一面に見えた。高い柱はこの空を真中で突き抜いているように聳えていた。