Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

なるほど眺めていると、煤けたうちに、古血のような大きな模様がある。緑青の剥げた迹かと怪しまれる所も微かに残っている。老人はこの模糊たる唐画の古蹟に対って、生き過ぎたと思うくらいに住み古した世の中を忘れてしまう。ある時は懸物をじっと見つめながら、煙草を吹かす。または御茶を飲む。でなければただ見つめている。御爺さん、これ、なあにと小供が来て指を触けようとすると、始めて月日に気がついたように、老人は、触ってはいけないよと云いながら、静かに立って、懸物を巻きにかかる。すると、小供が御爺さん鉄砲玉はと聞く。うん鉄砲玉を買って来るから、悪戯をしてはいけないよと云いながら、そろそろと懸物を巻いて、桐の箱へ入れて、袋戸棚へしまって、そうしてそこいらを散歩しに出る。帰りには町内の飴屋へ寄って、薄荷入の鉄砲玉を二袋買って来て、そら鉄砲玉と云って、小供にやる。倅が晩婚なので小供は六つと四つである。

倅と相談をした翌日、老人は桐の箱を風呂敷に包んで朝早くから出た。そうして四時頃になって、また桐の箱を持って帰って来た。小供が上り口まで出て、御爺さん鉄砲玉はと聞くと、老人は何にも云わずに、座敷へ来て、箱の中から懸物を出して、壁へ懸けて、ぼんやり眺め出した。