Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

などと声をかけられたりする。それをまた待ち受けてでもいるごとくに、連中は「おいちょっとおいで、好いものあるから」とか何とか云って、女を呼び寄せようとする。芸者の方でも昼間は暇だから、三度に一度は御愛嬌に遊びに来る。といった風の調子であった。

私はその頃まだ十七八だったろう、その上大変な羞恥屋で通っていたので、そんな所に居合わしても、何にも云わずに黙って隅の方に引込んでばかりいた。それでも私は何かの拍子で、これらの人々といっしょに、その芸者屋へ遊びに行って、トランプをした事がある。負けたものは何か奢らなければならないので、私は人の買った寿司や菓子をだいぶ食った。

一週間ほど経ってから、私はまたこののらくらの兄に連れられて同じ宅へ遊びに行ったら、例の庄さんも席に居合わせて話がだいぶはずんだ。その時咲松という若い芸者が私の顔を見て、「またトランプをしましょう」と云った。私は小倉の袴を穿いて四角張っていたが、懐中には一銭の小遣さえ無かった。

「僕は銭がないから厭だ」

「好いわ、私が持ってるから」

この女はその時眼を病んででもいたのだろう、こういいいい、綺麗な襦袢の袖でしきりに薄赤くなった二重瞼を擦っていた。