Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
私は頭からマントをかぶり、足も着物の裾も泥と露になってやっとそこまで尾いて行った。巨きな栗の古木の下に、苔むした墓石が角もとれて埋もれている。それは三尺に足らない小さい石である。私が見え分かぬ苔の下の文字をどうかして読もうと雨中に屈んでいると、番傘をさしかけていてくれた人が、
「智善さんや。智善さんは来ていなかったかよ」
と、大勢の中へ呼び立てる。
八十幾歳というがまだ元気な老僧が、人を掻分けて前に現われる。大野村に現存する宮本家の菩提寺の住職で永幡智善師だとわかる。紹介者がいうには、智善さんは明治四十年頃に、宮本武蔵の碑をこの村の武蔵の生れた屋敷跡に建てた発企者の一名で、その頃、細川護成氏や県知事などの協力を得るために、だいぶ武蔵の事蹟を調べたことがあり、その当時、菩提寺の過去帳に宮本家の血縁者の歿年戒名などを発見して、その写しを今もこの和尚が保存している筈ですが――というのであった。
耳の遠い智善さんは、まじまじと紹介者と私の顔を見くらべていたが、紹介者のことばが分ると、きょうあんたが来るということなので、その過去帳の写しをこれへ持って来ている。