Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
清盛ばかりでなく、伝記上の一個人の間を通観するばあい、外形や周囲の情熱だけでなく、その者自体の成長から初老をこえてゆく内面の生理的変化も観てゆかないと、わからないことが多い。たとえば、明智光秀のような武門中の文化人でもあり悧巧者でもあった人間が、なぜ三日天下のようなばかをあえてやったかというようなことも、四囲の史的条件だけでは判断がつかない問題である。光秀の健康診断が始めて謎を解くものだとおもう。
入道相国となって後の清盛にも、ずいぶん解き難い事件や言動が多い。そうしたあいまいな問題は従来すべて“天魔のごとき悪入道殿”の所業ということに帰して、たれもふしぎがらずに来たのである。だが、今度は彼の悪業といわれる黒白もその性格の本質も、充分に書き究めてみたいと自分へ期している。
今度はといった意味は、以前には書き得なかった後白河法皇を中心とする院政や宮秘のことも、今日ではなんの拘束もなく自由に書いてゆけるからである。これまでの歴史家的判決は、清盛ひとりを被告に立たせて、法皇には、一切触れることもしなかった。それでは、あの源平時代の実相は、まったく分かるはずはない。