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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme

Aozora Bunko

熊野灘つづく限りの長汀曲浦と、ここの松々々の磯松原は、湘南にも、裏日本にも、ちょっと比肩しうる地を思い出せない。枯れ芒の白い穂の波、ハゼ紅葉の真紅、黄いろい灌木などもまた、この群松帯を引きたてているのである。それに遠く大紀山脈を染めている夕日の余映も、ここの木蔭にまで落ちて来て、七里の道も、恍惚たる一ときのまに通ってしまった。途中で、ちょっと見た天然記念物とかの獅子岩などはなくもがな。

熊野川を渡る。長橋を堺として、都会の屋根。新宮市は、もう、宵の灯、賑わし。

橋畔の交番所前に、朝日の社旗を振って待つ人影がある。M通信局長だった。同車して、熊野速玉神社へゆく。

平家関係の古文書類、宝物など、観せていただく約束だったが、夜になったので、明日のこととして、旅館へ落ちつく。Kさん、Oさんも着く。販売店のH老、その他、大勢で食事。

例によって、ここでも、色紙短冊など、はや持ち出される。健吉画伯、嘆ずらく。「まるで、源泉課税みたいですな。ふわっ、は、は、は」

尾鷲から送ってくれた五丈館氏と運転手氏は、ここで尾鷲へ帰った。あとで聞けば、矢ノ川峠でトヨペットが故障、帰りは夜が明けてしまった由。