Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
断れるなら、やめてください」と、本気になって心配したということである。「シンパイナシ、リクチヲユク」と、家の母へ、途中から電報したとも聞いている。あわれ、留守のお母さんのためにも、この子のカゼを重らすな、と風雨にうごく十燭の電燈の笠を見まもりながら、こっちはいつのまにかグッスリ寝こむ。
旅館の主人、早朝に「いいあんばいに、猪がまだありました」と、報告してくる。ゆうべ猪がとれた話が出て、まだ肉が残っていたら馳走してもらいたいと頼んでおいたものだった。朝めしを抜き、早おひるに、その猪鍋を突っつき合い、田辺から山越えでくるバスを待ち合わせる。
鍋は底になったが、バスは来ない。番傘を借りて、小栗判官と照手姫の遺蹟など見て歩く。平家のころは、ここは「湯垢離の場」といっていたから、熊野行幸の随身たちが、わんさと、泊ったことだろうと思う。「プロペラ船に、間に合いませんなあ」「間にあわないと、どうなります」「あとは、新宮行がありませんから」「もう一晩ということになるんですか。それはたいへんだ」旅館の前で、KさんやOさんと、旅館の主が、首をかしげている。「歩きましょう」