Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
Oさんは、午前中留守番。Kさん、大阪での会議すまして即日、東京へ帰る。そこで車内のうしろ側は、杉本画伯、嘉治さん、ぼく。
天気悪く、寒く、何か降りそう。自動車、凍てきった舗装の街路を縫う。ゆうべからにわかに都会がめずらしい旅行者には歳末色がよけい眼につく。交叉点では時々ストップ。そのたび、真剣な生活の列のまえに自動車がおかれる。きょうばかりではないが、何か、すまないような気がする。
陸橋をこえている。たぶん豊崎とか十三とかを通ったのだろう。市外の北郊へ向かっているのは確実だ。大阪特有な煙突とスス色の庶民街が、みぞれ曇りの下に見わたされる。朝火事か、消防自動車の超スピードと、すれちがう。
ポツ、ポツと、ウインドウに雨の点。粒が粒を打ち、棒になり、一枚の濡れガラスになるころ。「はてな?」と風の砕花老、そろそろ小首を傾げはじめ「××化学工業の中っていうんだが、中だけに、始末がわるいな。いちいち、訊いて歩くのもへんだし」と、左顧右眄、忙しげである。「だいじょうぶ、富田さん」と、後ろの、われわれ。「分かってんですよ、けれど、なにしろ……殖えたなあ、この辺も、工場が」