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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme

Aozora Bunko

今ごろ、これが載るのは、随所に、季節ちがいの感をまぬがれまいと思うが、夏のサロンに花氷を置くし、夏座敷の床の間にわざと雪景山水を懸ける流儀もあるやに聞く。

といっても、編集者の洒落ではなく、小生の怠慢が、つい今日になってしまったもの。読者が夏の風邪ギミみたいな錯覚に襲われない要心に、まず、御諒恕を乞うというわけ。

また、同行五人のうち、Kさんは大阪で抜け、あとは一行四名となる。すなわち杉本画伯、嘉治さん、Oさん、ぼく。みな品行よろし過ぎる良識家なること、前篇で御承知のごとし。中でいささか、杯間、垢石型の酒風もあり邪気もあったKさんが抜けた後は、一行の中、やや酒を解し、脂粉も愛す者、ぼく一人となってしまった。――風流平家の没落の跡を弔うだに、冬の海、冬の山は、なかなかあわれが深い。せめて、旅館の夜の微酔愚談の程度は、読者も看過し給え。

けさは晴れ。車中。

大阪発、宇野行き列車が、ゆうべ雨の中を遊び歩いた神戸駅のホームを今ゆるやかに辷り出た。その車窓から、さっそく、源平古戦場群を一望にしてゆく。

義経の奇襲部隊が、一ノ谷へと潜行した丹波境には、雪の山ヒダが遠望される。