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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme

Aozora Bunko

「新・平家物語」のうちに、それを書くにも、従来は封ぜられていた皇室秘史にわたることでもあり、今とても、決して、どう空想を加えて書いてもいいというわけのものではないから、史料の渉猟や対比には、自分なりに慎重な用意をもってしたつもりである。ただあの中に出てくる阿部麻鳥――崇徳がここに御幽居中の一夜、横笛をたずさえて来て、その幽愁をお慰めしたという一人物は――土地の口碑や史伝では、僧の蓮誉ということになっている。ぼくの作品では、麻鳥に蓮誉の行為が仮託してあるわけなのだ。これだけは意識して史実とちがえてある。

西行法師が、ありし日の崇徳の君を慕って、この辺をさまよい、「白峯紀行」一文と手向けの和歌を詠じたことは、それが彼自身の筆になるものだけに、史実として、もっとも生き生きしているものだ。彼が、白峯へ登ったのも、やはり仁安三年の初冬だったから、ちょうど今、ぼくらが自動車を降りた場所のように、山蔭の中腹は、寒々として、満山の松風が、梢を鳴らしていたにちがいない。

「工事をしてますよ、この先の山道でね。ひとつこの辺から、お歩きねがわなければ……」

川六の主人がいう。