Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
マ氏は酒好きである。日本酒を解する。日本人にして解さないのが、嘉治さん、健吉さん、Oさんなど。
マ氏、ぼく、H氏などは、それら卓の対岸に、ただ食べてばかりいる一連の賢兄たちを、あわれむかのように、盞を上げて、見よがしに、享楽する。そのうちにマ氏、盃をふくんで、嘉治さんや健吉さんの顔を指していう。
「だめ。みんな、クリスチャン!」と。
嘉治さんが、すかさず、「じゃあ君は」というと、マ氏は言下に「わたし、すこしクリスチャン」と、肯定する。
みな爆笑。おのおのが、自分自分へ向かって、讃美歌の一節みたいに呟いていた。
「すこしクリスチャン。――なるほど、少しね」
食事のあと、ここでも、たくさんな色紙を書く。健吉画伯は、断れない性分というよりは、描くことそれ自体が天性好きらしい。画筆を持って、大きな背を丸くし出すと、その姿がもう画中の人だ。筆の墨を吸う、代赭を舐める。もし絵具皿の代りに、お酢の小皿を置いても、きっと舐めてしまうだろう。だから、宿の女中氏などが「お願いネ、三枚だけ」といっても、描けたそばから後ろへやって、また一枚ずつのせておけば、何枚でも描いている。