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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme

Aozora Bunko

前を行くお婆さん、おっさん、おかみさんなどにも負けはしない。

飛びこむとたんに、汽艇は桟橋を離れる。旅行中、こんなふうに、時々、駆け足をさせられるのは、愉快な日課である。老いらくの旅路も、うたた童心の汗にぬれ、修学旅行を思い出す。

宮島へあがる。さっき、列車の窓で見た虹は消えていた。午後二時半ごろの陽あし。迎えてくれた販売店主任のIさんやその他の人々を交え、岩惣までぞろぞろ歩く。

行くうちに気づいたことは、往来の土の踏み心地である。宮島特有なといってもよい。都市のアスファルトは固すぎるし、京阪の郊外は粗すぎるし、武蔵野の土は露じめりの日はよいが乾くとホコリ立ち、降ると名物のぬかるみができる。宮島の砂交じりの土は、程よく靴の裏の触感が楽しまれる。――それと、土産物屋でも食べもの屋の軒さきでも、よくまめに掃除をしている人々を見かけるには感心する。「清潔」と「不浄をきらう」伝統は、厳島の祭祀精神が住民の生活にまでしみこんだものと聞くが、こういう習慣なら日本中にあってもいい。宮島の歴史と、現実の観光価値をよく生かしているものは、ここの居住者の“きれい好き”にもあるといってよい。