Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
あの宇治川のくだりには、武者名のりがたくさん出るので、さすがの検校もいちいちその長い武者名は覚えきれないものとみえ、時々、バチを休めては、後ろを振向いた。あらかじめ、本を持ったお弟子が検校の背水にかがみ込んでいたわけである。それへ向かって、「え? ……。何? 何?」と小声で訊いてはまた、語りつづけ、弾きつづけるのであった。
こういうことは、ふつうの芸人であったら、いわゆるトチるとでもいわれはしまいかと、大いにてれたり、うろたえるところであろうに、検校はいっこう動じる容子もなく「え? ……何? ……」と振向いてはまた、悠然と弾き語りをつづけていた。まことに、古風な落着きであり、それが少しもトチることにならずにむしろ立派でさえあった。茶席の点前などのばあいにも、往々、失念や過失はありがちであるから、検校のあの物腰は、二千余人の各流のお茶のお弟子さんたちにも、何か示唆を与えたのではないかとおもう。そのせいか、会場にはダレる空気も失笑の流れたような様子もなかった。
そのあとで自分も一時間ほど話したが、自分は茶について語るほどな資格はないので、「非茶人茶話」