Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
車窓からは見えもしないが、絵巻「山中常磐」に描かれた常磐御前の終焉の地という美濃山中もこの辺の山間にちがいない。
晩年の常磐が、東国へさして行く途中、あえなく盗賊どもに殺されたという口碑と墓のある土地は、不破郡関ヶ原村山中の峠口の北にあたる路傍らしい。その墓は、先に尾崎士郎氏が旅行中に実見して来たことをぼくに知らせてくれた後から、同地の読者からまた、絵図を添えて詳しく知らせてくれた。
それによると、路傍の民家の裏に、苔むした三基の墓があり、その一つが常磐の塚、ほかの一基は芭蕉の句碑で、(よく芭蕉が引きあいに出るようだが、芭蕉の句碑もじつに多く、また事実、芭蕉その人も詠史に興味を持っていたものかとおもわれる)その碑面には、
義朝の心に似たり秋の風
という句が刻んであるという。
尾崎氏がここを訪うたころは、おりから森のそばの百姓家に桃の花がまっさかりで、それが、いかにも印象的であったといい、常磐御前の墓に黙祷して去ったと、その紀行「関ヶ原夜話」の中にも書いている。
その常磐の末路を描いた絵巻「山中常磐」は、たしかに重美か国宝になっているはずである。所有者は第一書房の長谷川巳之吉氏だったとおもう。