Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
ところが、小林氏の熱病よりも、ここでは、ぼくが不覚な病因を自ら作っていた。というのは、湯上がり後に出されたシャーベットを、つい、意地きたなく、話し話し、ペロリと食べてしまったのである。
旅行前は、いつも、原稿のストックを作るため、体に無理をして出るし、名古屋の疲れも加わっていた。また、胃腸は年来の弱点なので、夏中も冷たい物は一切口にしない習慣なのだが、どうしたわけか、そのときのシャーベットは無意識に食べてしまった。つまりそれほど美味しかったわけなのだろう。
それからすぐ、夜の会合で、大市へ行き、すっぽんを食べた。シャーベットとすっぽんとは、いずれ仲のいいはずはない。以後の下痢は、それかららしい。
けれど、当夜はまだ覚らず、帰りは途中から歩いて、三条、京極とあの辺を、子供のお土産にと約束した京の絵日傘を探して歩いた。パラソルならどんな小さいのでもあるが、京の特色のあるあの絵日傘はもう近ごろの京都では売っている店もない。
それを健吉さんとKさんが、根気よく探し歩いてくれるのをいい気になって、ぼくは先へ帰って寝てしまった。とつこうつ、明け方までに、厠へ通うこと数度、およそ旅先の旅館で、深夜、厠へ通うほど、ほかの部屋へ気がひけるものはない。