Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
私には、平家が主力をおいたのは、この会下山で、そしてまた、義経が降りて来たのも、この会下山の西の低地、刈藻川すじから遠くないものと考えられるのです」
川辺氏がいうところは、おおむねずっと以前に喜田貞吉博士が歴史地理学会の誌上に書いた所説と近いようであった。
けれどその喜田博士説にしても、川辺氏のように、この会下山を重要視してはいない。一ノ谷逆落しというようないい伝えは、まったく誤りであり、鵯越えとは、そんな断崖絶壁を駆け落したのではなく、現今の夢野の坂道を長田町の方へ攻め下って来たに過ぎない、と断定しているだけである。
「その鵯越えの道とか、一ノ谷合戦の真相はどうかという点などを解く鍵はですね、つまり、会下山ですよ。ここへ来てみなければ分からんですよ。まあ、ゆっくり腰を下ろしてください。多言は要しませんから」
と、川辺氏はかさねていった。ほんとに、こういう時にこそ、史蹟歩きの値うちはあるものだった。ぼくは幾たびもうなずいた。余りに課題は大きすぎるが、湿っぽい梅雨じめりの気流の中で、しきりに渋る腹鳴りを片手で抑えながら、とある石に腰をかけた。
上って来る途中で「神戸市緑地化運動地帯」