Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
白川の一夜など、忘れがたいものがある。
白川村から富山県へ抜ける五箇山のコースは、旅行者はまだほとんど通らないコースである。ちょうど、椿原渓谷のダムも起工されており、行路の難は、容易でないと聞いたが、そこを越えて、金沢へはいった。――金沢へ着く夜の夕方は、おりふし夕月の倶利伽羅谷を過ぎたので、車を下りて、月下に、義仲と京軍の古戦場を一望した。しかし、くたびれ顔で、詩もなし、句もなく、ただ地勢を見、時の流れを感じたのみだった。
北会津でも、北越でも、熊野、その他の渓谷でも、平家村といわれるところ、近来、すべてといってよい程、電源開発の大工事に揺り返されている。
“ダムと平家村”
これだけでも、詩である。
祇園精舎の鐘の声は、次々と完成してゆく電源地から新しい光波となって、また都会栄花のステージへ降りそそいで来よう。無常の作用はまた無死の作用といえる。
金沢から北陸沿海を一走、山越えで琵琶湖の湖北へ出て帰京した。汽車に乗ったのは、ごく一区域で、乗物には自動車、オート三輪、バス、なんでも利用してあるいた。乗らなかったのは駕籠と馬だけであった。
史料袋や耳袋に入れた素材は、かくてだいぶ蓄ったが、本文のほうはなかなか意のごとくにすすまない。