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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は芦の茂みへ分けいり、咳きこみながら、浅い沼を渡った。石灰粉を深く吸いこんだために、咳はいつまでも止らなかった。彼は草原を横切り、湿地を駆けぬけ、芦の茂みにとびこみ、また腰までもある沼を渡って、百万坪をまっすぐに、海のほうへ走り続けた。しだいにかすれてゆく乾いた咳の声が、かなり遠くなるまで、いかにも苦しそうに聞えて来た。

事務所から駐在所に使いがゆき、町の人たちが集まった。かれらはみんなそれぞれ得物を持っていたし、貝の罐詰工場のあるじである「大蝶」の旦那は、猟服に身を固め、猟犬を曳き、猟銃を肩に掛けていた。そして、巡査部長と二人の巡査を先頭に、このものものしい一団は、百万坪に向っていさましくでかけた。

彼女はなにごともなかった。その良人は額と胸と腹に負傷し、腹の傷がいちばん深くて、応急の手当をしたのち、十キロほど北にある市の病院へ、入院することにきまり、その夕方おそく、彼女が付き添って、吊台で運ばれていった。

彼はその翌日、百万坪の端にある篠竹の茂みで捕えられた。「大蝶」の旦那の射った猟銃の霰弾が彼のふくら脛に当ったのだという。旦那の射撃の腕前は高く評価された。