Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
経済原理
経済原理
私が沖の百万坪を歩いていると、三つの水路で少年たちが魚をしゃくっていた。近よって覗いてみたところ、バケツの中に鮒が十二三尾もいた。ひらたという川蝦や、やなぎ鮠もいたが、鮒のほうが多く、それも三寸くらいの手ごろな、――というのは私が喰べるのに、という意味であるが、――形のものであった。私はちょっとふところを考えてから、おもむろに少年の一人に話しかけた。するとかれらは号令でもかけられたように、水の中でしゃくっていた者も、バケツの番をしていた者も、魚を追い出すために杭や藻の蔭を突ついていた者も、いちどきに私のほうへ振り返った。
「蒸気河岸の先生だ」と一人が他の者に囁き、それから洟を横撫でにして私を見あげた、「――なんてっただえ」
その鮒を売ってもらえないか、という意味のことを私は繰返した。かれらの顔になにか共通のものがはしり、さっと緊張にとらえられるのが認められた。そのとき私は「しまった」と思った。なにがどう「しまった」のか不明のまま、ひじょうな失策をした、ということを直感したのであった。
少年たちは顔を見交わした。
「売んか」と一人が他の者に云った、「蒸気河岸の先生だぞ、な、売んか」