Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

毒をのむと苦しい

と女が云った、「おらけえるべえ」

男が慌てて女を呼び止めたが、女は返辞もしずに土堤へあがって来、そのままさっさと根戸川のほうへ歩み去った。――私が川やなぎの蔭から見ると、それはまだへこ帯をしめている、十五か十六くらいの少女であった。男はもそもそと、少女のあとを不決断に追っていったが、その男は二十五か六で、罐詰工場の工員のように感じられた。――彼はおそらくよその生れであって、この土地での恋のやりかたを知らなかったのであろう。それとも気が弱いだけだったのか。いずれにせよ、少女が怒って帰ったのは、男があいびきの目的に対して勇敢でなかったからに相違ない。私はそんなことを考えながら、帰り支度にかかった。

毒をのむと苦しい

私が晩めしのあと、独りで酒を啜っていると、窓の障子を外からあけて「喜世川」の栄子が覗いた。

「障子に先生の影が映ってたのよ」と栄子が云った、「あら景気がいいじゃない、あがらしてもらうよ」

私は隠しそこねた一升壜に向って顔をしかめてみせた。それは高品さんから貰ったものであった。まったく酒の飲めない高品さんが、どこかからなにかの祝いで、一升壜を三本おくられ、二本は炉端の客用にしたが、一本を私に呉れたのであった。