Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

蜜柑の木

私はちょっと質問した。

「そんなこたあ屁でもねえさ」と老人は云った、「いかずちの船大工に頼めばすぐ繕ってくれるだ、いいとも、おらが持ってって頼んでやるだよ」

「それから」と老人はいそいで付け加えた、「こういう売り買いには、買い手のほうでなにか物を付けるのがしきたりになってるだ、豚肉の百匁でもいいし、夏なら西瓜の三つくれえかな、うう、おめえよく舶来のタバコを吸ってるようだが」

私は豚肉を届けると答えた。

こうして私は「青べか」の持ち主になった。どんなに小さく、そしてぶっくれ舟であるにもせよ、一ぱいの舟の所有者になったのだが、私はうれしくもなかったし、誇りがましい気持にもなれなかった。長をはじめとする少年たちの軽侮の眼や、嘲笑の声を考えるだけで、むしろ急に肩身のせまくなったような鬱陶しい、沈んだ気分にとらわれたのであった。

「いいさ、あんな舟」と私は帰る道で自分に云った、「乗らなければいいんだ」

私は明くる日、老人のところへ舟の代金と、豚肉を百匁だけ届け、なお青べかについて、二三のことを頼んだ。老人はこころよく受け合い、そのとおりにすると約束した。

蜜柑の木