Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

土堤の冬

斜面のこちらは東の空の反映で、却って明るくなったようだ。しかし、本当はまえより暗さを増しているのだろう、風に揺れ動くくさむらも、すっかり色や陰影を失って、ただ非現実的な青銅色ひといろに塗りつぶされてしまい、そこに若者がいるということも、いまは殆んど判別がつかなくなった。

土堤の冬

外は雨、私は机に向っていた。机の上には書きかけの原稿があり、私は小さな火鉢にかじりついたまま、不自然な姿勢で、原稿の文字をぼんやりと眺めていた。

寒さのきびしい夜で、火鉢を抱えているのに、膝や足の指先は痛いほどこごえ、不自然な姿勢を動かすこともできず、背中は氷の板のように冷たく硬ばっていた。――私は浦島物語のパロディをこころみていたのだ。共産主義のドグマに挑んだ主題で、最小限度にでも頭脳と胃袋と生殖器の能力が均一でなければ、公平なる分配と所得はあり得ない、ということを、五幕の喜劇に組立てたものであった。私はその主題の大きさと真理をするどく把握していることに昂奮し、精神の力づよい高揚をたのしんでいた。だがその反面、ふところが極度にさみしいこと、いそいで少女小説か童話を書いて、どこかの編集所に駆け込まなければならない、というさし迫った問題で、気分は苦が苦がしくふさがれていた。