Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
たあと、ひるめしを喰べるために、一軒の店へはいった。
看板には「御休息とお中食、天丼、トンカツ」などと書いてあったが、座敷へとおされてみて、こいつはいけない、と私は思った。というのが、それより二週間ばかりまえに、画家の池部鈞さんから聞いた話を思いだしたのである。池部さんがまだ美校に在学ちゅうだったころ、写生旅行かなにかの帰りに、宇都宮かどこかで、汽車を待つあいだに食事をした。見かけはありふれた田舎食堂のような店だったが、すすめられて座敷へあがると、白粉臭い女たちがあらわれて、なにも注文しないのに酒だのビールだのを持って来、おのおの景気よく飲んだり喰べたりした。学生である池部さんには、それらが自分と無関係なのか、それとも関係があるのか判断がつかなかった。――なにしろ美校の学生とくると、できるだけ汚ない風態をするのが自慢だったから、どう見そこなってもふところを覘われる心配はない、と池部さんは思った。ところが勘定の段になると、白粉臭い彼女たちの飲み食いした物が、残らず池部さんのふところに噛みついたものであり、その取立てには些かの容赦もなかった、ということであった。