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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は周囲の眼をそらし、噂に耳を塞ぎ、非凡な精力で勉強を続けた。そうして、どのくらいの期間が経ったかはっきりしないが、ついに機関士の免状を取った。

ここまでの経過はこまかい部分がわかっていない。婚約期間が仮に二年だったとして、そのあいだ二人だけで逢ったことがあるのか、また、恋人同士らしい交渉があったか、ひそかに逢ったとすればどこでどんなふうだったか、愛の言葉を囁くとか、口喧嘩などが交わされたか。などという点については、なんの噂もなく、かげぐちも聞くことはできなかった。

彼は二十八号のエンジナーになり、「元井エンジ」と、多少の皮肉をこめて呼ばれるようになった。そこで、彼は故郷へ帰省した。祖先の展墓を兼ねて、自分の出世を報告するために、――故郷は岩手県のどこかで、汽車をおりてからバスで半日ほどゆき、それから歩いて何里とかの山を越す、といったような寒村であった。もちろん結婚することも話したであろう、ほぼ半月ほど経ってから、彼は土産物を持って帰り、「臼田屋」へおさいを訪ねていった。――おさいはいたが、彼を見るととびだして来て、いきなり激しく怒りだした。怒って罵りながら、両手の指を鉤のように曲げ、全身を音のするほどふるわせていた。