Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
顔もたっぷりと肥えてい、瞼が垂れさがっているため、眼は糸のように細く、視力も極度に衰えていた。顎のところには厚い肉が襞をなしてたたまり、首を曲げるとその肉襞がぐりぐりと動いた。――ブルさんとはその風貌ぜんたいをさした仇名であるが、あまり似すぎているため、却って興ざめなくらいであった。そのブル船長の視力は、二十メートル先もよく見えないというくらいだから、自分の眼では舵輪を操ることができない。そこで水夫の留さんが舳先に構えていて、「おも舵」とか「ゴーヘー」とか「とり舵」とか「ゴースタン」などと、大きく手を振りながら叫び、それによって船長は舵輪を廻し、エンジナーへの合図の鐘を鳴らすのであった。多少頭が温かいといわれている留さんには、それがなによりも誇りがましい任務だったろう、彼は酒に酔ったりすると、しばしば得意げにこう云ったものである。
――おらあがいねえば三十六号はやみだ。
それでもなお船をおりないブルさんのように、幸山船長も頑強にねばった。そうして、幾たびかめの辞職勧告に、多額の退職金が示されると、幸山船長は「金は要らないが十七号を呉れるなら退職する」