Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
――増さんはそれっきり学校をやめたが、通学の船賃だけは貰った。そこの関係はよくわからないが、とにかく六年の卒業期まで、船賃だけはきちんと取り立てたものだ、と平二郎は自分のことのように証言した。
短気で飽きっぽい彼は、次つぎと仕事を変えながら、どんな仕事も一年とは続かず、一年か二年おきくらいに、家をとびだすようになった。どこでなにをしていたのかわからないが、徴兵検査のときも所在不明で、憲兵隊とのあいだにいろいろ面倒なことがあった。一年おくれて検査を受けたとき、背丈が規定の寸法に足りないため兵役をまぬかれたが、徴兵官はくち惜しさのあまり膏汗をながし、「こういう人間をとらないでどんな人間をとるんだ」と云ったそうである。
増さんは二十三の年に結婚した。相手は貝の罐詰工場で働いていた娘で、名はきみの、年は十八歳であった。東北の生れであるが、両親に死なれたので、浦粕にいる遠い親類が引取ったのだという。その親類は漁師をしていて、子供が八人もいたため、きみのも十二の年から働かなければならなかったし、また家族の人たちにもあまり好遇されず、増さんとの結婚も本人は知らなかった。