Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
そんな話をしてから幾十日か経って、高品夫人の予言が事実になった。或る日、高品家の炉端で、夫人がそのことを私に告げた。高品さん夫妻と私の三人だけで、芝栗を剥き、茶を啜りながら話していたとき、夫人がふと思いだしたような顔つきで云った。
「とうとうできちゃったわよ、もう一と月以上にもなるんですって」夫人は、訝しげな眼をする私のことを打つような手まねをした、「わかるじゃないの、留さんに女ができたのよ、それがまた大変なの」
「八兵衛っていうお女郎あがりだそうですよ」と高品さんがやわらかな調子で云った、「いや、八兵衛っていうのは女の名じゃあないんです、たしか潮来あたりの遊廓の妓たちの代名詞でしてね、鹿島香取なんかへ参詣するときに、ゆきにしべえか帰りにしべえかっていうので、合わせて八兵衛ということになったんだそうですよ」
女は元は洲崎かどこかに出ていて、留さんとはそこで馴染んだ。そのあと潮来かどこかへ変ってからも、幾たびか留さんが逢いにいったらしい。今年「ねんがあけ」たので、夫婦約束をしたからと、留さんのところへ押しかけて来た。小さな風呂敷包みを一つ持っただけで、もう芝栗が出さかる季節だというのに洗い晒した浴衣一枚であらわれ、そのまま篠咲の家にいすわってしまった。