Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

自分の亡き母のことを思ってくれたので、いちおう感謝の気持をあらわしたのだが、喪に服するなどということは、昔ばなしのほかに聞いたこともないし、夜具のまわりに砂のマジノ線を作るということ自体に、一種の鬼気といったふうなものが感じられて、五郎さんとしては多少ならず興ざめであった。

――本当にそんなことがあるんだろうか。

五郎さんは不審に思った。けれども男女間の機微に触れることなので、父親にはもちろん、親しい友人たちにも訊いてみるわけにはいかない。それでゆい子が里帰りをした日、彼は寺の住職のところへ訪ねていった。大松寺は浦粕町から東北東へ、三キロばかりいった田圃の中にあり、住職は某宗教大学を出た「インテリ」だといわれていた。

「そういう話は聞いたことがないな」と住職は笑いをうかべながら答えた、「ぼく寡聞にして知らずといったところかな、しかしまあ、いいじゃないか」

「寝床のまわりへ砂を撒くことですが、そんな習慣もあるんでしょうか」

「知らないねえ、ぞっとするねえ」と住職は答えた、「そんなふうに寝床のまわりへ、ぐるっと砂の線を引くなんていうのは、聞いただけでぞっとするねえ、しかしまあ、いいじゃないか」