Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
鍋の中では鮒の味噌煮がことこと音を立ててい、味噌と川魚との入り混ったうまそうな匂いが、蓋の隙間から漂いながれていた。
蒸気河岸のほうから、土堤の上をこちらへ近づいて来る、賑やかな人声が聞えた。先生はまたペンを取った。人声はもっと近づいて来、それが子供たちだとわかったとき、かれらはうたいだした。
「おーかんけ(大勧化)おーかんけ おいなりさんのおーかんけ」
かれらは先生の家を見おろすところまで来て、土堤の上からうたい続ける。
「おぞーに(雑煮)とおーあげ おあげのだんからおっこって あーかい***ーすりむいた こーやくだい(膏薬代)にくれせーま くれせーま」
先生は机の前で躯を固くしている。土堤の上では子供たちの相談する声が聞える。
「いんだよいんだよ」と云う声がする、「見せえま、電気がついてんべえがね」
かれらはまたなにか相談をし、声をそろえて、まえよりも勇ましく誘惑的にうたいだす。もちろん文句は同じもので、先生は殆んど息をころしている。するとかれらの中から、船宿「千本」の長の呼びかける声がする。
「先生、百でも二百でもいいだよ」
先生は可笑しくなって、というのは、そのとき先生のふところは極めてさみしく、そういう喜捨に応ずることができなかったからで、つまりそれが可笑しかったのであるが、先生は辛抱づよく沈黙を守っ