Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして、こんなことを言った。

「いつかの扇子のときも、今度の鎧についても、あなたは大層心もちを悪くしておいでのようでしたから、どうかしてお心持の直るようにして上げたいと、わたくしも心から念じていました。その真心が天に通じて、自然にそんな不思議があらわれたのかも知れません。わたくしも自分の念がとどいて嬉しゅうございます。」

そう言われてみると、夫もその上に踏み込んで詮議の仕様もない。唯わが妻のまごころを感謝するほかはないので、結局その場はうやむやに済んでしまったが、張訓はどうも気が済まない。その後も注意して妻の挙動をうかがっているうちに、前にも言う通りのわけで世の中はだんだんに騒がしくなる。将軍も軍務に忙しいので、張訓の妻のことなどを詮議してもいられなくなった。張訓もまた自分の務めが忙しいので、朝は早く出て、夕はおそく帰る。こうして半月あまりを暮らしていると、五月にはいって梅雨が毎日ふり続く。それも今日はめずらしく午後から小やみになって、夕方には薄青い空の色がみえて来た。

張訓も今日はめずらしく自分の仕事が早く片付いて、まだ日の暮れ切らないうちに帰ってくると、いつもはすぐに出迎えをする妻がどうしてか姿をみせない。