Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
よその人に対しては、主人の妻というのを憚って、主人の娘といったのでしょう。病気はなんです。」
「たしかに肺病ですね。」と、T君は答えた。
「可哀そうですな。」と、S君も顔をしかめた。「まさかに、ここの家へ貰われて来たせいでもないでしょうが、遅かれ速かれ、家に妖ありの材料がまたひとつ殖えるわけですな。いや、どうも長話をしました。諸君はここにお泊りでしょうから、まあ注意して妖に祟られない方がいいですよ。女妖というのはなお怖ろしいですから。」
まじめな顔で冗談を言いながら、S君が我れわれのまどいを離れた頃には、高粱の薪ももう大方は灰となって、弱い火が寂しくちろちろと燃えていた。僕たち四人も門前まで送って出ると、空には銀のような星が一面に光って、そこらにはこおろぎの声がみだれて聞えた。今夜はもう霜がおりたのかと思われるほどに、重い夜露が暗いなかに薄白く見えた。
「寒い、寒い。もう一度、高粱を焚こう。」
S君を見送ると僕たちは早々に内へはいった。
あくる朝ここを出るときに、かの老人は再び湯と茶と砂糖とを持って来てくれた。彼は愛想よく我れわれに挨拶していたが、気のせいかその顔には暗い影が宿っていた。