Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
実はお招き申したいくらいであったが、御迷惑であろうと存じて差控えておりましたところへ、折よくお越しくだされて有難いことでございます。」と、増右衛門は丁寧に挨拶して、一座の人々をも与茂四郎に紹介しました。勿論、そのなかには、前々から顔なじみの人もありますので、一同うちとけて話しはじめました。
よいところへよい客が来てくれたと主人は喜んでいるのですが、不意に飛入りのお客がひとり殖えたので、台所の方では少し慌てました。前に申上げた祖母のお初はまだ十八の娘で、今夜のお給仕役を勤めるはずになっているので、なにかの手落ちがあってはならないと台所の方へ見まわりに行きますと、お料理はお杉という老婢が受持ちで、ほかの男や女中たちを指図して忙しそうに働いていましたが、祖母の顔をみると小声で言いました。
「お客さまが急にふえて困りました。」
「間に合わないのかえ。」と、祖母も眉をよせながら訊きました。
「いえ、ほかのお料理はどうにでもなりますが、ただ困るのは蟹でございますよ。」
増右衛門はふだんから蟹が大好きで、今夜の御馳走にも大きい蟹が出るはずになっているのですが、主人と客をあわせて七人前のつもりですから、蟹は七匹しか用意してないところへ、不意にひとりのお客がふえたのでどうすることも出来ない。