Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
まったく正気の沙汰とは思われないからでございます。
「ところが、お仲さんの話では、別に気がおかしいような様子はみえないということです。」と、お富は言いました。「なんでも浅草の方に大層えらい行者がありますそうで、御新造はこの間そこへ何かお祷りを頼みに行って来て、それからコレラになりたいなんて言い出したらしいというのでございます。その行者が何か変なことを言ったのじゃありますまいか。」
「でも、自分がコレラになりたいと言うのはおかしいじゃないか。」
母はそれを疑っているようでございました。わたくしにもその理屈がよく呑み込めませんでした。いずれにしても、同町内のすぐ近所にコレラになりたいと願っている人が住んでいるなぞというのは、どうも薄気味の悪いことでございます。
「なにしろ、いやだねえ。」と、母は再び顔をしかめていました。
「まったくいやでございます。お仲さんはどうしても今月いっぱいでお暇をもらうと言っておりましたが、御主人が承知しますかしら。」と、お富も不安らしい顔をしていました。
そのうちに父が風呂から上がってまいりましたので、母からその話をしますと、父はすぐに笑い出しました。