Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
身許不明の四国遍路が形見にのこした笛は、まったく世にたぐい稀なる名管であった。彼がどうしてこんなものを持っていたのかと、弥次右衛門も頗る不審に思ったが、いずれにしても偶然の出来事から意外の宝を獲たのをよろこんで、彼はその笛を大切に秘蔵していると、それから半年ほど後のことである。弥次右衛門がきょうも菩提寺に参詣して、さきに四国遍路を発見した田圃なかに差しかかると、ひとりの旅すがたの若侍が彼を待ち受けているように立っていた。
「御貴殿は石見弥次右衛門殿でござるか。」と、若侍は近寄って声をかけた。
左様でござると答えると、かれは更に進み寄って、噂にきけば御貴殿は先日このところにおいて四国遍路の病人を介抱して、その形見として袋入りの笛を受取られたということであるが、その四国遍路はそれがしの仇でござる。それがしは彼の首と彼の所持する笛とを取るために、はるばると尋ねてまいったのであるが、かたきの本人は既に病死したとあれば致し方がない、せめてはその笛だけでも所望いたしたいと存じて、先刻からここにお待ち受け申していたのでござると言った。
藪から棒にこんなことを言いかけられて、弥次右衛門の方でも素直に渡すはずがない。