Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

座頭は朝から夕まで渡し場へ出て、倦まず怠らずに野村彦右衛門の名を呼びつづけていた。

平助は毎晩一合の寝酒で正体もなく寝入ってしまうので、夜半のことはちっとも知らなかったが、ある夜ふけにふと眼をさますと、座頭は消えかかっている炉の火をたよりに、何か太い針のようなものを一心に磨いでいるようであったが、人一倍に勘のいいらしい彼は、平助が身動きしたのを早くも覚って、たちまちにその針のようなものを押隠した。

その様子がただならないようにみえたので、平助は素知らぬ顔をして再び眠ってしまったが、その夜半にかの盲人がそっと這い起きて来て、自分の寝ている上に乗りかかって、かの針のようなものを左の眼に突き透すとみて、夢が醒めた。そのうなされる声に座頭も眼をさまして、探りながらに介抱してくれた。平助はその夢についてなんにも語らなかったが、その以来なんとなくかの座頭が怖ろしくなって来た。

彼はなんのために針のようなものを持っているのか、盲人の商売道具であるといえばそれまでであるが、あれほどに太い針を隠し持っているのは少しく不似合いのことである。あるいは偽盲で実は盗賊のたぐいではないかなどと平助は疑った。