Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

赤座の実家には老母と妹がある。このふたりの女は無論に○○教の信仰者で、右ひだりから無理に彼をおさえつけて、どうしてもその職を去ることを許さないらしい。それに対して、彼にも非常の煩悶があったらしく、こんなことなら、なんのために生きているのか判らない。いっそ自分のあずかっている社に火をつけて、自分も一緒に焼け死んでしまった方がましかも知れないなどと、ずいぶん過激なことを書いてよこしたこともあったように記憶している。送別会に列席した七、八人の友だちも職業や家庭の事情で皆それぞれに諸方へ散ってしまって、依然東京に居残っているものは村野という男と僕とたった二人、しかも村野はひどく筆不精な質で、赤座の手紙に対して三度に一度ぐらいしか返事をやらないので、自然に双方のあいだが疎くなって、しまいまで彼と手紙の往復をつづけているものは僕一人であったらしい。

赤座の手紙は、毎月一度ぐらいずつ必ず僕の手にとどいた。僕もその都度にかならず返事をかいてやった。こうして二年ほどつづいている間に、彼の心機はどう転換したものか、自分が現在の境遇に対して不満を訴えることが、だんだんに少なくなった。